栃ト協 長時間改善へ荷主団体に

栃ト協 長時間改善へ荷主団体に

トラック運転者の長時間労働の改善が進まないとして栃木県トラック協会(石塚安民会長)は21日、県内の経済4団体に荷主都合による待機時間など発生削減を求める要請書をまとめ栃木労働局長と栃木運輸支局長の連名で提出した。2024年度に施行が猶予されている運転者の時間外労働規制の適用が迫っていることから、トラック運送事業者が法令違反にならないよう協力を求めた。

労働局長、運輸支局長連名で要請

まとめた「安全で安定した輸送力確保に向けた取組に関する要請書」を、栃木県中小企業団体中央会と県商工会議所連合会、県商工会連合会、県経営者協会へ提出。石塚栃ト協会長が4団体を代表した栃木県中央会の齋藤高藏会長に手渡した。
2年後に適用されるトラック運転者の時間外労働上限規制に対応するため労働時間短縮への協力を求めたほか、時短に伴う賃金水準確保に向け国が告示した「標準的な運賃制度」への理解を盛り込んだ。
また、急騰する燃料価格で事業者のコスト負担が支えきれなくなりつつあるとして上昇分を転嫁する「燃料サーチャージ」の積極導入を検討するよう主張した。
要請書を受け取った齋藤会長は、「(トラック運送事業の)働き方改革と標準的な運賃の理解および協力、燃料価格上昇分を反映した適正な運賃見直しに向けて会員事業者へ周知を図ることに努める」などと約束した。
石塚会長は運転者の労働時間を定めた改善基準告示を説明しながら現状について、「運転者の基本的な拘束時間は一般的な労働者より5時間多い13時間以内としている。しかしそれでようやく一般的な労働者と同じ賃金水準を保っているのに、ここにきて燃料価格の高騰では座して死を待つのみとなる」と業界の厳しい胸の内を明かした。
トラック運送業界の労働時間短縮が進まない原因には、荷主都合の待機時間や契約外の付帯作業など発生が妨げとなっている。こうしたことから厚生労働省が実施する事業者への監督・指導状況では多くの違法な時間外労働が認められ、その中には過労死ラインとする1カ月の残業時間が80時間を超える事例もあると石塚会長は指摘した。
これらを受け意見交換では、商工会議所連合会が会議などで要請書の内容を説明し周知と協力への取り組みを加速させていくとしている。
また藤浪竜哉栃木労働局長は、時間外労働上限規制の対応については、取引先の理解やパートナーシップ構築など一足飛びでできるものではないとして、周知など出来ることから手がけ「令和6年4月の施行に間に合うようにしたい」と述べた。

提供元:日本流通新聞×foredge

日本流通新聞 トラックマンジョブ