【物流日記】最大級自然災害時のドライバーの対処法(地震・水害・竜巻)

【物流日記】最大級自然災害時のドライバーの対処法(地震・水害・竜巻)

手軽にスマートフォンで経路や混雑状況が取得可能になり、さらにはDXで物流の自動化や機械化が進み、科学技術の進歩によりすべてをコントロールできるのではないかと思えます。
しかし、優れた科学技術を有していたとしても制御不可能な事態があることを自然災害発生時に感じるのではないでしょうか?

日本の貨物輸送量において、重量ベースで9割以上をトラック運送が昼夜問わず担っているため、運転中に自然災害に遭遇する確率が高い傾向にあると思われるトラックドライバーの緊急時対処法についていくつかピックアップします!
自然災害発生時には通常のトラック運行が困難になり、車両と積み荷の安全を守るべく冷静な判断と対処が求められます。
トラックドライバーの方だけではなくお仕事中自動車を運転される方や、自家用車を運転される際の参考になれば嬉しいです!

■日本における自然災害

1923年の関東大震災など古くから日本は地震列島と呼ばれるほど地震の発生率が高いことが知られており、最近では2011年の東日本大震災が記憶に新しいかと思います。
地震の他にも、特に夏にはゲリラ豪雨や大型台風、雹による水害の発生も増加しており、竜巻の発生件数も増加傾向にあるため、代表的な例として地震・水害・竜巻について1つずつご紹介いたします。

■地震発生時の対応策

トラック運転中に地震に遭遇すると路面が揺れるため、直進していた際も蛇行している感覚になり、ハンドル操作が困難になる可能性があります。
路面が揺れふらつきを感じた際は減速し、安全な路肩や広場にトラックを停車させなければいけません。
ただし、プロのドライバーは地震発生に気づくことができても、地震発生を認識するには個
人差があるため、落ち着いて周囲の走行車両の様子を確認しながら減速の意思表示をし停車する場所を探さなければなりません。

大きな地震の発生時には、周囲の建造物の破損・倒壊により路面がふさがれる場合があります。
高速道路や路面、一般道の高架や橋梁など亀裂や段差の発生によりマンホールの隆起や信号の機能停止が起こる事もあります。
巨大地震発生時には、何より安全の確保を最優先に落ち着いて安全な停車スペースを探すことが重要です。

■水害発生時の対応策

豪雨や台風の影響で河川が決壊した場合、道路の冠水による交通麻痺は道路冠水の水深によって緊急性と対応が異なります。
・10cm以下:問題なく走行が可能な水深
・10~30cm:ブレーキの性能に影響が出る可能性がある水深
・30~50cm:エンジン停止の危険性がありトラックでの侵入を避けるべき水深
・50cm以上:車両が浮き上がる危険性がありトラックから脱出すべき水深
河川付近でなくとも、道路冠水による交通麻痺は0メートル地帯などで発生しやすいため注意しなければなりません。

トラックで走行中に水害に巻き込まれた最悪のケースではトラックが水没してしまう可能性もあります。
トラックが水没した場合にはエンジンなどにダメージを受ける可能性もありますが、何よりドライバーが水没車両から脱出不能に陥ることを避けなければなりません。

トラックの運転中に、水害に巻き込まれた際にはエンジンが停止する前に必ず窓を開け、トラックのドアを人力で開けられない場合も窓から脱出することが可能となります。
万が一窓を開ける前に電気系統がダウンしてしまい、車内に閉じ込められた場合でも車内に水が浸入し外部の水面と同レベルまで車内が水で満たされれば、ドアを人力で開けることが可能となるので冷静に対処することが重要です。

また、夏は豪雨と台風以外にも注意しなければいけないのが雹(ひょう)です。
万が一ピンポン玉ほどの雹が降ってきた場合は、車体を傷つけフロントガラスが割れる恐れがあります。
トラックで走行中に運転の継続が困難に感じるほどの雹が降ってきた場合は、早めに頑丈な屋内駐車場に非難することが重要です。
避難することができるような駐車場が見当たらない場合は、周囲の交通状況に応じて減速し路肩に駐車します。

ここでも道路冠水の可能性があるため注意が必要です。
大量の雹が降ると、雹に加えて降雹により落ちた木々の葉や枝、ゴミなどで排水溝が詰まり、豪雨が重なることで短時間のうちに道路が冠水してしまい、交通麻痺に繋がるという事例も起きています。
冠水の恐れがある場合は、落ち着いて前述の対応を取る必要があります。

■竜巻発生時の対応策

竜巻の強さはFスケールと呼ばれる7段階で表され、F0〜F6に分類されるFスケールの内容は以下のとおりです。

・F0:木の枝が折れ根の浅い樹木や道路標識に損傷が出る規模
・F1:家屋損壊や軽量車両のハンドル操作が困難となり交通状態に乱れが生じる規模
・F2:家屋損壊や軽量車両横転が発生し走行が困難となる規模
・F3:家屋全壊や重量車両が浮き上がるなど交通麻痺に陥る規模
・F4:家屋全壊や軽量車両が上空に巻き上げられるなど深刻な被害が生じる規模
・F5:軽量車両が数百メートル飛ばされ大型トラックも上空に巻き上げられる規模
・F6:発生した場合の被害予測が不可能なほど強力なもの規模

日本ではこれまでF4以上の竜巻は観測されていないと言われています。
F3クラスの竜巻が発生するとトラックが浮き上がり横転する危険性が高まります。
1990年には千葉県で発生したF3レベルと言われる竜巻により10トンダンプが横転するなどの被害が発生しています。
世界的な環境変化に伴い今後国内で発生する竜巻の勢力が強くなる可能性がないとは断言できないため、竜巻発生時にどのように対処するかを考えていて損はないと思います。

また、F2以下の竜巻でも飛来物との衝突で思わぬ事故に巻き込まれる可能性があります。
竜巻が発生した緊急時には看板や自動販売機など飛来の可能性があるものや橋梁から離れた場所にトラックを停車し、ビルの地下などに避難することで身の安全を守ることができます。
万が一竜巻に巻き込まれてしまった場合はトラックを停車し、車外に出ないようにして竜巻の通過を待ちます。

■まとめ

トラックの運転中に自然災害に遭遇した際の対処法として共通する最も重要なことは慌てず
冷静に対処することです。
地震や水害、竜巻に巻き込まれ緊急時には、トラックから離れて避難しなければいけないケースも発生することでしょう。
大切なトラックや積み荷を置いて避難することに抵抗があるかもしれませんが、ドライバーの皆様の安全確保を一番に考えていただきたいと思います。

また、自然災害発生時には警察・消防・自衛隊が被災者の安全確保の為に現地へ行く場合がありますが、停車車両によって進路を塞がれてしまうケースも往々にしてあります。
緊急時のトラックの停車位置は救助活動などの邪魔にならない路肩であること、救助活動に支障をきたす車両は救助隊が移動させられるように鍵は車内に置いておくことが、国家公安委員会によって定められていますので改めて念頭に置いていただければと思います。

いかがでしたでしょうか?
今回は自然災害時のトラックドライバーの皆様がどのように対処すべきか、地震・水害・竜巻に注目し取りあげました。
これから夏になり、異常気象による自然災害が増える事が予想されます。
時期や昼夜問わず発生の可能性のある地震への対策も念頭に置き、運転中だけではなく普段より防災グッズや避難場所などの確認するきっかけになれば嬉しいです!

今後も「物流たまてばこ」のコンテンツとして、物流業界に関わる最新情報や交通に関わる情報なども発信していきますのでチェックしてみてくださいね!

日本流通新聞 トラックマンジョブ