【物流日記】前衛的な未来の貨物ドローン発表

【物流日記】前衛的な未来の貨物ドローン発表

建物が立ち並び鳥と並行し輸送用ドローンが空を飛び交う近未来的な景色が後数年で実現可能になるかもしれません。
日本の運送会社である「ヤマトホールディングス株式会社」が、オーストリアのeVTOL開発会社「サイクロテック(CycloTech)」と協力して、従来のドローンとは異なる翼もプロペラもない新しい貨物ドローンのコンセプトを発表しました。

一般的なドローンといえば、4つのプロペラが付いたものが主流ですが、今回新しく発表された貨物ドローンは、荷物を運ぶためにデザインされています。
翼やプロペラがないため、初めてご覧になる方は飛行するマシンだと判断することが難しいことかと思います。

ヤマトホールディングスが開発した貨物ユニット「PUPA(Poa Unit for Parcel Air-transportation:ピューパ)701」と、サイクロテック社の「サイクロローター」を用いた共同研究の成果として、前衛的な形で無人で空を飛び荷物の配達を可能であると4月12日に公開されました。

ヤマトホールディングスが開発したPUPA 701は、現在活用を検討する物流eVTOL機に限らず、他の先端的な無人航空機にも搭載可能な貨物ユニット「PUPAシリーズ」の一つとなります。
機体から貨物ユニットを簡単に着脱できる設計のため、陸上においても安全で効率的なオペレーションが可能になります。
またPUPAには約30kgの荷物を収納し、手押し車への変形が可能となり、PUPAを転がしてドローンまで運び、そのまま中央部に格納するだけとシンプルな仕様になります。

サイクロテックが研究するサイクロローターは、その特徴となる360°推力変更システムによって垂直離着陸を行い、高度な機動性を備えるため、特に都市環境において真価を発揮します。
垂直離陸から水平飛行への遷移や風への対応、精密着陸を容易にし、狭い土地への着陸や厳しい気性環境下でも安全な運用が可能となります。
かつPUPAを格納した貨物ドローンは、最大130km/hの速度で飛行が可能で、最大飛行距離は40kmであり、現段階では遠くまで運べるわけではありませんが、機体サイズが2.7×2.5mになるため、直径5mの狭い場所でも離着陸できるというメリットがあります。
離島やビルの屋上などに配達できるため、従来の大規模な物流システムでは対応できなかった小規模なニーズを満たすことが可能になります。

今回ご紹介したヤマトとサイクロテックの共同研究の成果として発表された貨物ドローンは、まだ理論研究の成果を発表した段階であり、実装されることが決まったわけではありません。
しかし物流業界においてドローンの活用が5Gの安定した通信環境下で実現の見通しが立っており、医療物資の配送市場を中心に実用化が進んでいます。
政府はドローンの利活用のレベルを4段階にわけており、アメリカや中国ではドローン物流の実用化に向けて、すでにレベル4飛行の実現に成功しています。
レベル1の目視内での操縦飛行、レベル2の目視内での自動・自律飛行はすでに実用化されており、レベル3の無人地帯での目視外飛行も離島や山間部などの人の少ない地域でサービスが開始されています。
最終段階のレベル4において有人地帯での目視外飛行が認可されれば、都市部など人がいるエリアでのドローンの自律飛行が可能になり、物流業界でのドローンビジネスの市場規模は右肩上がりの成長が見込まれています。
ドローンビジネスに関する研究や実験は多くの業界で加速することでしょうから、ワクワクし実現の日を待っています!

今後も「物流たまてばこ」のコンテンツとして、物流業界に関わる最新情報や新型貨物機についても発信していきますのでチェックしてみてくださいね!

日本流通新聞 トラックマンジョブ