宿泊施設へ手荷物配送開始 鎌倉市観光協会
新型コロナウイルス感染症で、観光・運輸事業は多大な影響を受けた。生活環境が変わり、旅客運送事業では、離れた客が一部戻らない現象が起きている。
緊急事態宣言を受け、外出自粛により、観光事業に対する影響は大きい。
鎌倉市観光協会(大森道明会長)は1日、手荷物を宿泊施設に配送する「手荷物配送サービス」をヤマト運輸との連携で始めた。観光客が鎌倉駅西口の協会事務所窓口に午前9時から正午までに持ち込むと、夕方には提携宿泊施設まで届ける「手ぶら観光」のサービスだ。
手ぶら観光はこれまで、京都、横浜、箱根などで実施しているが、鉄道事業者などの民間企業が行う事例はあったが、観光協会が受け皿となるのは珍しい。
事業の指揮を執る大津定博専務理事は、「観光客はこれまで、横浜、箱根に宿泊するといった流れがあり、鎌倉での宿泊は他の地域に比べ低い傾向にある。これまで手荷物一時預かりを行い、ピーク時には1日250個と高い需要があったことから、その先のサービスの広がりを模索していた」という。
観光地の配送サービスの価格帯を見ると、1000円〜1500円が相場。周辺では一時荷物預かりで700円〜800円を収受している。配送事業者の選択も一時は軽貨物事業者を検討したが、ヤマト運輸との価格交渉で現実のものとなった。
配送サービスは、一時預かりに比べ、インセンティブは低いものの、決して儲けだけではない顧客に対する利便性を高めたもの。
荷物は観光協会窓口で受け取り一時保管し、ヤマト運輸鎌倉南支店の由比ガ浜センターに一度集約され、各提携宿泊施設に配送される。配送は、宅急便利用約款に基づく。
同サービスの付加価値と認識と理解を高め、旅館組合と連携強固に提携施設の増加を目指す。
GоTоトラベルの支援に併せ、今月から地域共通クーポンの付与が開始されるなどの後押しも相まって、徐々に鎌倉の人出が戻りつつある。同配送サービスは「鎌倉に泊まる」キッカケに期待を寄せる。
提供元:日本流通新聞×foredge