「標準的運賃」浸透へ KIT画面に試算機能を追加

「標準的運賃」浸透へ KIT画面に試算機能を追加

求荷求車ネットワークWebKIT2が、「標準的な運賃」を活用し適正運賃収受への取り組みを本格化する。15日に会員端末(ID)数が初めて6千を突破。伸びる利用に伴い標準的運賃を会員に浸透させ、求荷求車での成約をその水準に高めていく。簡単に標準的運賃を計算できる機能が備わり、会員の適正運賃収受と働き方改革を支援するモデルを構築する。

WebKIT2を運営する日本貨物運送協同組合連合会(吉野雅山会長)は、16日から手軽に「標準的な運賃」の計算がシミュレーションできる機能を追加し、提供を開始した。荷物情報など登録する前に計算機能の使用で、その輸送の運賃が標準的運賃と比べることができる。抱えていた配送業務などKITに情報登録していただけの考えから脱却し、計算で導き出された標準的な運賃を参考値に、荷主と交渉への活用を期待する。]

標準的運賃浸透で働き方につなげる

他産業に比べ長時間労働と低賃金の傾向にあるトラックドライバー。人手不足の原因だとして、労働環境と待遇改善に向けて国土交通省は標準的な運賃の告示制度を導入した。日貨協連は、改善の目安として示された標準的運賃の普及をWebKITを通じて図る。会員と荷主にも浸透させ、標準的運賃をベースとした事業の成り立ちを描く。
技術の進歩でWebKITの操作環境は飛躍した。昨年5月、15年ぶりにシステムの大幅改修を行った。荷物情報や車両情報には荷姿など伝えられる画像貼付、また地図機能などが加わり先進的な求荷求車システムへと進化した。そして今回、国交省が告示した「標準的な運賃」を簡易に計算できる新サービスを開始。
シミュレーション利用は、WebKIT会員向けに提供するコンテンツ。KITのメニューボタンに設定され、距離制と時間制それぞれの運賃が計算できるようにした。近日中にスマートフォン用アプリもリリース予定で、外出先でも計算できるようになる。

取引円滑化へ ガイドライン

WebKITの方向性について16日、都内で記者会見が開かれ日貨協連の庄子清一副会長(KIT・情報化委員会委員長)が計画を示した。
標準的な運賃の簡易計算機能による「適正運賃収受」への取り組みのほか、「適正取引の推進」として「WebKIT適正取引ガイドライン」を策定した。取引品質の向上に向けて、どのようなケースが違反行為かを示す。
また10月をめどに不適切運賃の入力や禁止ワード・情報の入力を抑制するシステム改修を行う予定。指針を守るためのEラーニング、オンライン研修を今年11月から来年3月にかけて行うことも計画する。
「コミュニケーション強化」を進める。コロナ禍でオンライン利用が広がるなか、近い将来KITは相手と画面で会話できるような仕組みを練る。
庄子委員長は「多くの求荷求車システムが存在してきたがKITのように常に成長発展を続けるネットワークは他にない」と胸を張る。その理由を「協同組合が基盤」という信頼と安心で成り立っていることを強調した。この特長をIT技術など活用し「業界標準の求荷求車取引プラットホームを構築する」と展望を述べた。

提供元:日本流通新聞×foredge

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