危機時に備えた体制強化、国交省

危機時に備えた体制強化、国交省

国土交通省が発表した自動車局の2021年度予算概算要求額は、一般会計で前年度予算比1・40倍の27億3000万円、自動車安全特別会計で1・15倍の625億1800万円で合計1・16倍の652億4700万円とした。新型コロナウイルス感染症拡大を契機に感染症発生や自然災害など、危機時においても機能を維持するための施策を盛り込んだ。トラック運送業の働き方改革に向けた予算措置も拡充した。

主要施策は①持続可能な自動車運送事業・整備業の確立とユーザーの利便性向上、②安全・安心の確保及び環境対策の推進、③自動運転技術の開発・実用化促進、④事故被害者救済の充実。
①は危機時も機能維持へ生産性向上の取り組みを加速するとともに事業継続への備えを進める。併せて行政手続きのデジタル化・リモート化など平時の利便性向上にも繋げる。
具体的には危機時等に備えた体制強化と新たなサービス構築で1億500万円を要求。うちトラック運送業は7000万円で「強靭化の確保」「輸送力の強化」に取り組む。
強靭化では異常気象やコロナによる事業者の影響を踏まえ体制強化への調査を実施。運送事業者、荷主、自治体と連携した防災・減災の取り組みに係る課題整理やコロナの流行で品不足が生じた品目の輸送に係る課題や、緊急時における人材確保に係る調査などを行う。
輸送力強化では非接触型事業運用や業務効率化に向け、IоTなどを活用した、先進的な輸送効率化の取り組みについて調査・実証する。

標準的運賃の浸透状況を調査

トラック運送業の働き方改革の推進は9500万円を要求。要求額は前年度予算横ばいだが、輸送品目別の労働条件改善への取り組みと「ホワイト物流」推進運動の継続案件のほか、労働実態の把握と、求貨求車システムの活用による取引環境適正化についてそれぞれ調査・検討を行う。
労働実態調査では、4月に告示した標準的な運賃の浸透状況も含む。長時間の荷待ちをさせている荷主の通報制度のさらなる活用方策も検討する。
求貨求車システムは、Webkitなどの民間取引ツールの運用改善を促し、これらデータの国の施策への活用方策について調査・検討する。
このほか運行管理(点呼)の高度化で2・38倍の3000万円を要求。IT機器による非対面の点呼を促進し、対面点呼よりも高い水準での安全性を確保できることなどを要件とする認定制度の構築へ実証調査を行う。
②の安全対策では、先進安全自動車(ASV)やドライブレコーダーなど導入支援で前年度予算並みの8億7400万円を要求。監査体制を強化し、新たにSAなどで民間の調査員がトラック運転者に聞き取りを行い、運行実態を調査する。
健康起因事故防止対策では1・74倍の7000万円を求める。緑内障など視野障害による事故防止への調査を加える。
③の自動運転技術では新たに自動配送ロボット制度の整備で2000万円を要求。政府目標である2021年度以降の制度設計の基本方針の決定に向けて、必要な制度整備手法やロボットの性能要件など検討に資する調査を行う。
自動車局では組織・定員においてもトラック運送業の災害等危機対応力の強化で運輸局係長9人、健康起因事故防止に向けた監査体制の強化で運輸支局運輸企画専門官20人の増員を要求した。

提供元:日本流通新聞×foredge

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