広がるロボット点呼支援 飲酒運転など確実な防止

広がるロボット点呼支援 飲酒運転など確実な防止

点呼をロボットが補助する現場が広がっている。ドライバーへの指示と記録、飲酒運転を防ぐためのアルコールチェックが確実に行われ運行管理者の負担が軽減されるからだ。人が実施するより優れている領域は任せたいとの考えが高まってきた。さらに勤怠管理や安全教育のツールが用意され、拡張性にも優れていることから導入を検討する事業者が着実に増えている。

昨年末都内。新日本流通新聞社が事務局を務める日本物流研究会(NBK)において、ロボット点呼の最新機能が披露された。2019年夏より富士通製「AIロボット点呼機器(Tenko de unibo/テンコでユニボ)」のレンタル販売に取り組む日本貨物運送協同組合連合会(日貨協連/吉野雅山会長)と、AIロボット点呼機器を開発したナブアシスト(群馬県高崎市)が最新動向を説明した。
運行管理者の業務は、運行乗務前と帰庫後の対面点呼だけではない。いわゆる「点呼」「労働時間管理」「指導監督」の3大業務といわれるマネジメントを行う。その大部分はいま、ロボットが補助でき、さらにデジタルタコグラフやドライブレコーダーと連携し安全へのサポートも手厚くなっている。
たとえば乗務前点呼。対面点呼の流れは、1.本人確認 2.アルコールチェック 3.免許証チェック・車輌確認 4.血圧・体温など体調管理 5.日常点検の状況確認 6.指示伝達事項 7.運行管理者による最終視認——などで終了となる。
これら1〜7.まで一連の点呼業務の9割を「unibo」が支援できる。点呼記録簿も自動作成し、クラウドで3年間保存される。
現在、法的にロボットだけでの点呼はできない。人による対面点呼が義務付けられている。開発したナブアシストの飯田三起也部長は「ロボットができる領域を任せることで、運行管理者はより専門性の高いマネジメントに集中できる」と人とロボットの分業効果を強調した。
記録や計測、指示・伝達事項など実はロボットが確実だ。任せた分、人は煩雑な業務から解放されることで長時間拘束や疲労の軽減が期待できる。うっかりミスといったことも減るだろう。
オプションで改善基準告示への対応や、ドライバー向け安全指導機能も活用できる。働き方改革への準備と安全確保の備えを図った。安全指導は、ドライバーの継続的な教育を実施するため国土交通省が示す12項目の「指導及び監督の指針」での教育が義務付けられており、そのコンテンツを活用し教育が受けられるようにした。

点呼場で100台稼働

IT点呼への応用として法人版チャットツール「スラック」を活用し、疑似対面での点呼ができる。
また長距離輸送などでの中間点呼にも今年4月から対応する。スマートフォンとハンディタイプのアルコールチェッカーを運転者が携行し実施する。
「AIロボット点呼」は、一昨年10月の販売開始から約100台が事業者に導入された。さらに40台の予約を受付けている。100台が実施した運行管理件数は、この2年間で約34万回。そのうちドライバーからアルコールが検出され、点呼中断したのは全体の0・2%にあたる676回だったことが分かっている。
警察庁調べによると2019年中の事業用トラックにおける飲酒(酒気帯び含む)運転と交通事故件数は、いずれも対前年を上回り増加傾向を示した。このことからも踏まえ、AIロボット点呼機器による飲酒運転防止への機能は十分果たされているといえる。

提供元:日本流通新聞×foredge

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