物流パラダイムシフト、佐川急便、日本郵便が協業

物流パラダイムシフト、佐川急便、日本郵便が協業

佐川急便(本村正秀社長)と日本郵便(JP/衣川和秀社長)は10日、物流サービスの協業で基本合意したと発表した。小型宅配便荷物の輸送、国際荷物輸送、クール宅配便で協業するほか、宅配便の共同配送や拠点間輸送で両社の荷物を積み合わせる幹線輸送の共同運行も検討する。
物流業界の課題を解決し、顧客の利便性向上へ相互の経営資源を活用する。両社の強みを生かした新たな宅配便事業体制を構築する。
先行して3分野で協業する。小型宅配便ではJPのポスト投函型「ゆうパケット」を活用したサービスを佐川急便で取り扱う。11 月以降を予定し、佐川急便が顧客から預かりJPに差し出し、JPの配送網で届ける。
国際荷物輸送はJPが取り扱う世界120以上の国・地域へ届ける国際郵便サービス「EMS」を活用したサービスを佐川急便で取り扱う。10月以降を予定、佐川急便が顧客から預かりJPに差し出し、「EMS」の配送網で届ける。
クール宅配便はJPのゆうパックの保冷品配送サービスの一部を佐川急便で取り扱う。来年1月以降を予定。佐川急便は1999年の「飛脚クール便」開始以降、高品質の冷蔵・冷凍輸送サービスを展開しており、ゆうパック利用顧客にも同品質のサービスを提供する。
今後の取り組みとして両社のシナジーを最大限に発揮するためワーキングチームを組成し、顧客の利便性を高めるサービス開発、インフラ構築へ協議する。 両社が持つリソースを活用して、宅配便の共同配送や拠点間輸送で両社の荷物を積み合わせる幹線輸送の共同運行などの効率的な協業方法を検討する。
●幅広い企業との協業も視野
両社の協業検討は年初から。JPが課題としていた保冷品配送の受託を佐川急便に持ち掛けた。佐川急便もポスト投函型の取扱いが課題としており双方強み・弱みを補完する関係を模索してきた。
同日の会見で衣川社長は「EC市場の拡大で宅配便の増加は加速し宅配サービスは社会インフラとなる一方、担い手不足で物流サービスをどう安定的に維持するかが大きな課題。互いの強みを掛け合わせ相互に補完し、物流業界のパラダイムシフトを目指す」との見解を示した。
本村社長は「日本郵便の2万4000局の配送網と当社グループ約10万人のリソースを補完し合い、多くの顧客の利便性を高める輸送サービス提供に繋げたい」と期待を述べた。
競合環境も強まる中で、両社は様ざまな社会課題を解決できるよう、幅広い企業との協業も視野に入れ、新たなソリューション開発に積極的に取り組む考えだ。

提供元:日本流通新聞×foredge

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