「2024問題」とドライバー不足

「2024問題」とドライバー不足

静岡県トラック協会はこのほど、7月10日〜8月20日に会員企業1381社に実施した「ドライバーの雇用状況調査」(回答数524社/37・9%)の結果を取りまとめた。調査はドライバー確保や雇用対策に役立てるため、会員企業でのドライバー不足の実態とドライバー確保等の現況を把握することを目的に昨年から実施している。

静ト協調査 時間外労働時間の現状 「上限規制超」4分の1

 ■時間外960時間超 ドライバーの状況
時間外労働時間が年960時間を超える「ドライバー」の有無については、「いない」が69・8%(前回70・2%)、「いる」が27・1%(同23・1%)と、4分の1強の事業所でドライバーの時間外労働時間の上限規制を超えている状況にあることがわかった。
時間外労働時間が年960時間を超える「ドライバー」がいる割合は、「1割未満」が54・4%(41・5%)と最も多く、「2割〜3割未満」が25・0%(28・8%)だった。長時間労働となっているドライバーは一部に限られているとみられる。
「ドライバー」の時間外労働時間の上限を、適用期日の2024年4月1 日)までに守れるかについては、「今後、自社の努力次第で守れると思う」が30・5%(25・0%)であるのに対して、「荷主の理解と協力が必要」が46・9%(53・9)、「自社の努力だけでは難しいと思う」が16・9%(11・8%)と、多くが荷主等との連携がカギになると考えていることがわかる。
 ■時間外720時間超 運転者以外の状況
時間外労働時間が年720時間を超えるドライバー以外「一般労働者」の有無については「いない」が71・4%(前回68・0%)、「いる」が25・1%(同25・8%)と、前回調査より改善しているものの、依然として4分の1の事業所で一般労働者の時間外労働時間の上限規制を超えている状況にある。
時間外労働時間が年720時間を超える「一般労働者」の割合は、「1割未満」が50・4%(同48・0%)で最も多く、「2割〜3割未満」が29・6%(同26・0%)だった。各事業所とも長時間労働になっている一般労働者は一部に限られているとみられる。
ただ、上限内に収めるには、「自社の努力だけで可能」が27・3%(同25・0%)に対し、「荷主の理解と協力が必要」が42・4%(同50・4%)、「自社の努力だけでは難しいと思う」が22・7(同25・2%)と、多くが荷主等との連携がカギになると考えていることがわかる。
 ■年次有給休暇の取得状況
年次有給休暇の取得状況は、ドライバーでは、「5日に満たない労働者はいない」が85・9%と大半を占め、「5日に満たない労働者がいる」は12・9%であった。また、ドライバー以外の一般労働者では、「5日に満たない労働者はいない」が87・6%、「5日に満たない労働者がいる」が11・8%であった。
 ■ドライバーの充足感
現状のドライバーの充足感について、「足りている」と回答した事業者が約4割(39・8%)だったのに対して、「繁忙期のみ不足」22・0%、「やや不足」32・9%、「かなり不足」5・3%と、不足感を感じているとの割合は6割超——という結果になった。
前回調査(20年7月=回答数515社/37・5%)との比較では「足りている」との回答が8ポイント減少(前回47・8%)となり、ドライバーの充足感は後退し、改めてドライバー不足が浮き彫りになった。
不足している免許種別のドライバー数は、①大型免許(11㌧以上)280人/44・2%②中型免許(11㌧未満)174人/27・5%③準中型免許(7・5㌧未満)174人/27・5%などとなり、より大型のドライバーほど充足感は低い状況にある。
ドライバー不足の主な理由としては、①「募集するも応募がない」27・9%②「退職」27・0%③「採用するも定着しない」20・3%との回答が比較的多くなっている。退職者の補充が難しいばかりでなく、採用後の定着化にも苦慮している状況がうかがわれる。
ドライバー不足の状況が続いている期間については、「1年以上(慢性的)」が46・4%で圧倒的に多く、ドライバー不足が常態化していることを裏付けている。
  ■ドライバー不足への対応
ドライバー不足の対応策では「傭車・下請けを利用している」22・7%(前回20・9%)が最も多い。次いで「高齢者の雇用(延長)」16・0%(同15・9%)、「若手ドライバーへの免許取得支援」が10・1%(同10・7%)で、「女性ドライバーの雇用」8・7%(同10・0%)などと続いた。
女性ドライを採用しない(できない)理由は、「体力面でハンディ(力仕事等)がある」38・9%(前回39・6%)がトップ。次いで「勤務時間や休日取得の希望が合わない」が14・6%(同15・2%)など。また、「募集をしても応募がない」という理由も多く挙げられた。
求人活動の有無では、「募集している」が51・5%(前回44・3%)、「募集していない」が48・5%(同55・7%)で、前回との比較では「募集している」が約7ポイント増えた。

「2024問題」とドライバー不足

提供元:日本流通新聞×foredge

日本流通新聞 トラックマンジョブ