荷動き活発も仕入れ上昇続く、TDB11月景気動向 運輸・倉庫業

荷動き活発も仕入れ上昇続く、TDB11月景気動向 運輸・倉庫業

帝国データバンク(TDB)が発表した11月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比2・0ポイント上昇の39・1と2カ月連続で改善した。荷動きが活発に推移したが、燃料価格の高騰で仕入単価DIは70・7と2008年8月(72・7)以来の水準に上昇。一方で販売単価DIは51・2と横ばい傾向で収益の悪化が懸念される。

販売単価横ばいで収益悪化懸念

全体の景気DIは前月比1・6ポイント増の 43・1と3カ月連続で改善した。全51業種中42 業種が改善し24業種で コロナ影響前の2020年1月を上回る水準まで回復。一部で半導体不足の影響が和らぎ輸送用機械・器具製造の生産・出荷量が上向いた。原油などの資源高や材料不足の影響による仕入単価、販売単価の上昇は継続した。
運輸・倉庫業界の景気DI39・1もコロナ前の2020年1月(39・5)以来の水準。海上コンテナの不足、価格高騰が長期化するなか港湾運送が高水準で推移した。挽回生産などで荷動きが活発になった。
調査対象の6割を占める一般貨物自動車運送の指標は39・6と前月比1・6ポイント改善した。
運輸・倉庫業界の各指標をみると、仕入れ単価DIは70・7(前月68・7)に上昇し、運賃・料金を示す販売単価DIも51・2(前月51・3)と50を超えているものの横ばい。この1年をみてもグラフのように仕入れ単価は上昇の一方、販売単価はほぼ横ばい推移となっている。
また、11月の雇用過不足DIは正社員59・2(同58・6)、非正社員54・6(同55・0)だった。
貨物関係の事業者からは「感染状況が収束に向かいつつあり貨物の動向や取り扱いも活発」(港湾運送)、「世界的な経済回復に牽引され、自動車メーカー筆頭に工業製品の取り扱いで好調さが持続」(普通倉庫)、「部品供給不足が徐々に回復し荷量が増加」(こん包)など荷動きは明るさが聞かれる。
「コンテナ船の混雑状況は見通しが立たないが、コロナや半導体不足が改善すれば状況は好転する」(港湾運送)一方で、燃料高騰の懸念が聞かれ「世界的な供給制約や物流の混乱で原材料や燃料の価格が上昇し、企業物価と消費者物価の乖離が続く(一般貨物)など先行き不安視する。
TDB調査による運輸・倉庫業の景気DI見通しは、3カ月後43・1、6カ月後46・3、1年後49・7となっている。

日本流通新聞 トラックマンジョブ