荷主に燃料サーチャージ導入要請 全ト協 国交省 

荷主に燃料サーチャージ導入要請 全ト協 国交省 

「燃料価格が1円上がると、トラック業界全体で約150億円負担が増えます!」——。インターネットのYahoo!JAPANページで、こんなバナーが飛び込んでくる。全日本トラック協会が25日から1カ月間、「燃料サーチャージ制の導入」と「標準的な運賃の活用」をネット広告でアピール。また、荷主・一般国民に向け燃料価格高騰によるトラック運送事業者の窮状を理解してもらい、安定した輸送力を確保するためこれら専用ページも開設した。

連名で4.5万社へ文書燃料高騰 存続の危機

全ト協と国土交通省は25日、連名で荷主企業約4万5000社に対し、「燃料価格高騰に伴う燃料サーチャージ制の導入について」(お願い)文書と、燃料サーチャージ制の導入、標準的な運賃の告示制度に関する各パンフレットを送付した。
文書には車両台数20台未満の小規模事業者が76%も占めるトラック業界は、燃料価格高騰で事業存続の大きな危機に直面するにもかかわらず運賃・料金の値上げ交渉さえできないと指摘。高騰分については「多くのトラック運送事業者が収受できないのが実態」で、「事業継続できない事態」として理解を求めた。

■燃料サーチャージ制

国交省は燃料価格が高騰した2008年に策定した「トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン」(12年改定)で、燃料サーチャージを燃料価格の上昇・下落によるコスト増減分を別建て運賃として設定する制度とし、20年に告示した「標準的な運賃」では、軽油の基準価格を100円/㍑に設定。それを上回ると燃料サーチャージが適用される。
全ト協調査のスタンド軽油価格(全国平均)では、20年11月の89・2円/㍑から21年11月には120・3円と31・1円も高騰しているが、サーチャージ適用は20円となる。

■コスト増の転嫁

運送委託者はトラック事業者から燃料費等のコスト上昇分を運賃・料金に反映することを求められたにもかかわらず、これを不当に据え置くことは、下請法・独占禁止法に違反する恐れがある。また、貨物自動車運送事業法による荷主等への「働きかけ」「要請」「勧告・公表」の対象となる。

■「標準的な運賃」

「標準的な運賃」はドライバーの労働条件を改善し、安定した輸送力を確保するため法令を遵守して持続的に事業を行う上での参考として国土交通大臣が告示したものだ。
今回の全ト協と国交省の連名による「燃料価格高騰に伴う燃料サーチャージ—制の導入」文書は、荷主に持続可能な物流の実現に向けて「標準的な運賃」の活用への理解と協力を要請している。

提供元:日本流通新聞×foredge

日本流通新聞 トラックマンジョブ