トラック価格転嫁進まず、中企庁調査で浮き彫りに 

トラック価格転嫁進まず、中企庁調査で浮き彫りに 

中小企業庁が昨年10−11月に行った、価格交渉促進月間フォローアップ調査の結果によると、「価格転嫁の達成状況」、「価格交渉の進捗状況」ともにトラック運送業が全16業種中、最も低い水準であることが分かった。価格交渉では「協議に応じてもらえた」との回答が39・9%と最も低い。燃料価格が高止まる中で、転嫁対策が急務である。

「協議に応じてもらえた」は4割

価格転嫁の達成状況は、直近1年間のコスト上昇分のうち、価格に転嫁できた割合を採点したもの。10割を10点、9〜7割を8点、6〜4割を5点、3〜1割を2点とした。 
トラックは全16業種のうち最も低い6・28。高いのは上位から金属7・56、放送コンテンツ7・48、化学7・46など。下位はトラックのほか、印刷6・40、自動車・自動車部品6・46など。
価格転嫁できた割合は全体で78・0%、トラックは59・1%だった。
価格交渉の進捗状況は、直近1年間の発注側企業との価格交渉の協議に関して、同様に10点満点で採点。こちらもトラックが最も低い6・23。上位は電気・情報通信機器7・87、食品製造7・79、建設7・78など。下位はトラックのほか、印刷6・88、放送コンテンツ7・00などとなっている。
表の通りいずれも全体と乖離がみられる。トラックは価格交渉で「協議に応じてもらえた」割合が最も低い一方、「協議を申し込まなかった割合」は航空宇宙(53・8)に次いで高い。
荷主、元請けとの関係、商取引慣行の違いもあるが、他業種と比べ転嫁が進まない実態が浮き彫りとなった。
トラック関係のヒアリングからは「市況に合わせた柔軟なコスト負担の対応が難しい」、「安値合戦状態に近く、コスト転嫁の話はできていない」といった声や、「二次、三次が請け負う領域に大手が相場より値下げして参入し、その価格に合わせざるを得ない」、「上位の元請け、下請業者から下ろされる代金は、二次・三次請負がコスト増加分を転嫁できる金額となっていない」など聞かれる。

【価格交渉促進月間フォローアップ調査】

中小企業庁は最低賃金の改定を含む労務費や原材料費等の上昇などが取引価格に適切に反映されることを促すため、 9月を「価格交渉促進月間」とし、発注側企業に価格交渉に応じることを促進。この成果を確認するため、事後的にアンケートと下請Gメンによるフォローアップ調査を実施した。調査期間は2021年10月15日〜11月12日。

提供元:日本流通新聞×foredge

日本流通新聞 トラックマンジョブ