【物流日記】物流業界最大級の問題?トラックバース待機時間問題

【物流日記】物流業界最大級の問題?トラックバース待機時間問題

働き方改革関連法によってドライバーの労働時間に上限が設定されることで生じる諸問題を、2024年問題と呼びますが、あと2年で自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制が適用されるため、対策は急務となっています。
トラックドライバーの長時間労働はメディア等でも取り上げられ長らく問題視されていました。
さらに新型コロナウイルス感染症の流行も相まって、ECを展開する企業も増加し、ネット通販の利用による配送量の増加もドライバーの長時間労働に繋がる1つの要因となっております。

物流が活発になることで、大型の物流倉庫や物流施設が新たに誕生し、日本最大級のマルチテナント型物流施設として千葉県流山市の「GLP ALFALINK 流山」の竣工が話題になりました。
日本最大級かつ最先端物流拠点となりますが、もちろん施設に集まる物流量に比例してトラックバースは広くなりトラックの台数も当然増加します。
メディアで取り上げられる長時間労働の要因の1つで問題視されているのが「荷待ち時間」と呼ばれるトラックバースでの待機時間です。

今回は荷待ち時間の平均や、それに対する対策などに注目しました!
着荷主の方にも知っていただきたい内容となりますので、是非ご覧ください!

まず「荷待ち時間」とは、荷主や物流施設の都合によってドライバー側が待機している時間のことを指しています。
この問題はドライバー側でコントロールすることが難しく、ドライバーの長時間労働の大きな要因となっています。
全国物流ネットワーク協会の発表によると、荷待ち時間平均は1時間45分であり、長いときは3時間を超える荷待ち時間が発生すると言います。
この荷待ち時間は長年問題視されていますが、なかなか改善することができず、劣悪な労働環境は物流を支えてくださっているトラックドライバー不足の深刻化を招いています。

荷待ち時間の原因として荷主側の荷積みの準備が出来ていなかったり、物流施設の場内で他社車両と時間がバッティングし待機を要求されることが挙げられます。
トラック運送業者側から顧客である荷主側に改善を強く要請することが出来ないのが現状です。
そのため、トラックは時間通りに到着しているのに、物流施設の場内に他社のトラックが列をなして待機しているのが原因で、長時間の荷待ちが発生するという問題に繋がっています。
待機時間の発生は配車効率が下がるだけではなく、荷降ろし後の工程にも影響を及ぼすなど、物流コスト増加の要因ともなっています。

物流業界では、トラックドライバーの荷待ち時間を「休憩」扱いとして処理している運送会社も多く、その結果サービス残業、さらにはトラックドライバーの長時間労働に繋がる悪循環が発生しています。

ドライバー不足が深刻化している現在では、トラックドライバーの労働環境改善は急務とされており、政府主導で荷待ち時間対策が行われるようになっています。
ここでは荷待ち時間解消に寄与するテクノロジーを、2つご紹介します。

①トラックバースの予約システム
物流施設では、特定の時間にトラックが集中する時間帯があり、荷物の積み下ろしをする「バース」が混雑してしまい、荷待ち時間が発生することが多々あります。
こういった状況を解消するために近年導入されているのが、「バースの予約」システムです。
バースの予約システムは、常に最新のバース空き状況を確認でき、物流センターに到着する前にバースを予約することで、待ち時間なく積み下ろしができるようになります。
インターネット上で荷降ろし時間の予約受付をすることで、ドライバーの待機時間減少が可能となり、なおかつ荷物が何時に到着するのか可視化できるため、計画的な入荷作業を行うことが出来ます。

②ハンディターミナルの導入
物流施設で積み込みを行う際、入出荷時の検品作業に時間がかかってしまうのもトラックドライバーの荷待ち時間の発生の大きな要因となっています。
検品作業を全て目視で行いミスを防ぐために二重でチェックすると、作業時間がかかる上人件費もかさんでしまいます。
こういった出荷時の検品作業時間を減らす対策としてハンディーターミナルも導入されています。
荷物にバーコードを取付け、ハンディターミナルで読み込むことで確実かつスムーズに検品作業が進み、荷待ち時間削減の対策として有効であるとされています。

いかがでしたでしょうか?
長距離の配送によりトラックドライバーは長時間労働であるというイメージが持たれがちですが、物流施設での荷待ち時間がトラックドライバーの拘束時間を伸ばしているという現状について知ることができました。
荷待ち時間を休憩としてではなく労働時間として換算され、適切な残業代が支払われることで納得するドライバーの方もいらっしゃるかもしれませんが、冒頭で触れたようにドライバーの労働時間に上限が設定されるため、荷待ち時間の削減は急務となっています。

物流業界の重要性は今後も高まっていくかと思います。
今回は物流業界の問題の裏に潜む「荷待ち時間」に注目しました!
今後も「物流たまてばこ」のコンテンツとして、物流業界に関わる最新情報を発信していきますのでチェックしてみてくださいね!

<バース>
倉庫や物流センターでトラックが接車し、荷物積み降ろしなどに使用するスペースをバースといいます。
入荷用・出荷用で使い分けしている施設もあります。
もともとは船舶入港後に係留して、貨物荷降ろしをする岸をバースと呼んでいたことから、物流センターやトラックターミナルの荷物積み降ろしスペースをバースと呼ばれるようになりました。

日本流通新聞 トラックマンジョブ