【物流日記】物流業界最大級の問題 空車回送とは?

【物流日記】物流業界最大級の問題 空車回送とは?

燃料の価格高騰の影響を多くの方が受けていらっしゃるかと思います。
ウクライナ情勢、新型コロナウイルス流行に伴う原材料価格の高騰は、燃料だけではなく車両やタイヤ、部品などの値上げも頭を抱える問題であります。

物流業界が抱える諸問題の中でも、以前より問題として上がっているのが「空車回送」です。
空車回送とは貨物を積載せずに、トラックを走らせる回送状態を表します。
例えば、トラックが東京から宮城まで配送を行った際に、積載貨物が見つからなかった場合宮城から東京まで仕事がなく、ドライバーの1日が無駄になってしまうという問題に繋がります。

国土交通省のトラック輸送状況の実態調査によると、配送業に用いられるトラックの1日の走行距離は、平均347 kmと言われています。
東京から東へ約300 kmで宮城県にたどり着きますが、300 kmを走る為に必要なガソリン代を、ガソリン単価を150円、燃費が1リットルあたり10 kmとして計算をすると、約4,500円となります。
月額にすると10万円前後の負担となり、燃料価格高騰がトラック業界に与える影響が多大であることがわかります。

ドライバー不足で労働力の確保が難しく、さらには燃料価格高騰でトラック業界は事業存続の大きな危機に直面していますが、運賃・料金の値下げ交渉も難しく、高騰分については収受出来ないのが実態です。

また運送業企業の43.3%が、「空車回送の割合が全体の約3割を超えた」経験があると回答しています。
空車回送が見込まれる場合、貨物を積載しない状態でも復路の報酬を保証するとなると、消費者の購入する商品の価格に上乗せするという事も考えられます。

運送企業の約70%がドライバーの人手不足を感じている中、新型コロナウイルス流行に伴うEC市場の成長による物流量の増加が長時間労働に拍車をかけます。
そして燃料価格高騰がトラック業界の経営を圧迫するという事態から、物流業界最大級の問題である「空車回送」削減への対策は必要不可欠となっています。

空車回送を削減するための施策として、共同配送による帰り荷の確保、中継輸送のネットワークの形成、求荷求車のマッチングサイトの利用などを行っています。
しかし十分な効果が得られたという実感は低いのが現状です。

全日本トラック協会は燃料価格高騰対策本部を設置して、コストに見合った適正な運賃・料金の収受などをふまえ価格転嫁への対応を急いでいます。
運送業界全体での取り組みや理解を深めることが重要ではありますが、商品の価格高騰に繋がりうるため、消費者の皆様にも全く関係のない事ではないかと思います。
燃料の価格高騰が続く現状をきっかけに、「空車回送」の実態を知っていただければと思っています。

今回は物流業界最大級の問題といえる「空車回送」を取りあげました!
今後も「物流たまてばこ」のコンテンツとして、物流業界に関わる最新情報や施策について発信していきますのでチェックしてみてくださいね!

日本流通新聞 トラックマンジョブ